転職する際に、現在の会社から同業他社への転職はしないようにと、クギを刺されることがあります。
経験を活かして同業に転職したいと思っている人にとってはかなりショックなことですが、実際のところはどうなのでしょうか。
この記事では同業他社へ転職する際に押さえておきたい6つのことをお伝えします。
同業他社に転職しないように成約を交わしたら、転職できないの?
職業選択の自由は日本国憲法で保障されており、基本的には同業他社への転職を禁止したり制限する法律はありません。
入社時に「競業避止義務規定」について契約書を交わしているなら注意する必要があります。
転職によって前会社の気密情報を漏らすなどして多大な損害を与えた場合は、競業避止義務規定が効力を持つこともあります。
社会人としての常識がある人なら、競業避止義務規定にかかわらず他言はNGと分かっているのではないでしょうか。
余計なことは一切喋らなければ、同業他社に転職しても大丈夫です。
「同業他社に転職しても我が社の内情その他をライバル社には言わないでくださいね」といった程度のもと思い、それほど気にしなくても大丈夫です。
同業他社に転職するなら気をつけておきたい6つのこと
1、就業規則や誓約書を確認する
まずは自分の会社の就業規則や、入社時や昇進時に書いた誓約書などがあれば、「競業避止義務」が記載されていないかどうかを確認してみましょう。
転職に際しての記載がなければ、同業他社に転職するのに問題はありません。
競業避止義務が記載されている場合も「気密性の高い情報に係わっていた」とか「内部事情にくわしい役員だった」人でなければ、必要以上に気をつかうことはありません。
しかし、退職先を聞かれた場合は、「しばらくはゆっくりして考えるつもりです」などと言葉を濁しておくことをオススメします。
2、「退職後、一定期間、競合他社に就職しない」という約束を、競合避止特約といいます。
退職時に同意するサインを求められることもありますが、サインの義務はありません。
例を出しましょう。
会社側から「退職金を給料の2年分上増すので、2年間は同業者に転職をしないでほしい」などと提案があればヒィフティヒィフティですが、一方的に「一定期間、競合他社に就職しないでほしい」と会社側が命令的に申し出た場合は、会社を訴えることもできます。
まずはそのことを知っておき、「入社時の誓約書に競業避止義務があっただろう」とか「競合他社に就職するとただではすまない」などと責められても動揺せず、なるだけ穏やかに対応しましょう。
3、前職に損害を与えた場合は競業避止義務違反となり、損害賠償などが発生することもまれにあります。
平社員でとくに社内の気密事情に詳しくなくても、顧客情報の持ち出しや、独自の営業方法などの情報の提供は罪となります。
仮に転職先で上司にさり気なく聞かれることがあっても、さらっと交わしましょう。
4、ビジネスマナーとして守るべき守秘義務
前職の会社に在籍していて得た情報を他言するのは違法行為となります。
最低限のビジネスマナーとして安易に前職についての仕事上のノウハウは話さないようにしましょう。
5、退職までつつがなく過ごす
退職する前に会社側と険悪になってしまうと、競業避止義務違反を盾に、なんらかの請求をされることもあるようです。
6、引継ぎをきちんとしておきましょう
転職先が同業種、異業種にかかわらず、引継ぎをきちんとしておくことは大切です。
とくに同業種へ転職した場合は、個人の携帯に前職場から仕事の連絡が入ったりすると不信感を持たれてしまいます。
同業他社に転職する時の志望動機ってどう書けばいいの?
履歴書を書く前に
転職を希望する企業のホームページをチェックし、事業や理念などについて調べておきます。
履歴書の印象をアップ・40代の写真や学歴、志望動機の書き方まとめ
会社が求めている人材について知り、正直に書く
中途採用を行なう企業のほとんどは、即戦力を期待しています。
前職での実績をアピールすることは大切ですが、実力以上のことを書くのは止めましょう。
採用後は実力が分かってしまいます。
上司に「嘘だろ?」と思わせるより「思っていたよりできるじゃないか」と思ってほしいですよね。履歴書は正直に書きましょう。
志望動機書を書く際の注意
志望動機は「なぜ応募するに至ったか」を自分の言葉で書きます。
転職エージェントを利用する
履歴書や志望動機書はそう何度も書くものではないので、的確にスマートに仕上げるのは難しいものです。
転職エージェントを利用すると、サポートしてもらえるので悩まずにすみます。
同業他社に転職することを現職に伝える時、理由はどうすればいい?
退職願は一般的に一身上の都合と書きます。
しかし、上司はそれでは納得がいかないので、たいていの場合は色々と聞いてきます。
書類上では「一身上の都合」は立派な理由となるので、「条件のよい同業他社へ転職します」などと、ストレートな理由を口にするのは控えましょう。
「老親の面倒を見る必要がおきたので定時に退社できるところを探そうと思います」などあいまいな理由も「一身上の都合」です。
「パートナーの体調が思わしくなく子供の世話をするため、住居の近くで職を探すつもりです」なども正当な理由です。
理由はあいまいにしておき、退職をすると決めた時点で、就業規則を今一度よく読み、ルール通りに手続きを進めましょう。
ほとんどの会社は退職の1ヵ月前くらいに申し出る規定があるようですが、会社によって違うので就業規則を確認することは必須です。
また、退職する日を具体的に設定することで、辞めようと思いながらも退職を先延ばしにすることがなくなります。
本気で辞めたいときは、ある程度テンポよく進めましょう。
上司に退職の意思を伝える時期は?
会社によって違いますが、退職希望日の最低2ヵ月くらい前には、直属の上司に意思を伝えるようにしましょう。
直属の上司が苦手だからといって、さらに上の上司に退職の意向を伝えるのはマナー違反です。
また、安易に辞めたいことや同業他社へ就職したいことなどを、先輩や同僚に話をするのは、うわさが広まるだけなのでやめましょう。
どんなに親しいと思っていても、ある意味職場は戦場。
今日の友は明日の敵にもなりかねないことを心しておくといいでしょう。
会社は一生面倒を見てくれるわけではないので、自分が決めたなら遠慮なく転職するために行動をおこしても、何の問題もありませんが、できる限り波風を立てることなく退社することが理想です。
会社の繁忙期は避けて、退社したいことを早めに直属の上司に伝えておきましょうね。
同業他社への転職は年収がアップする可能性が高い
同業他社への転職は何かと気を使いますが、即戦力として働けるのが強み。
採用する側としても仕事を覚えてもらうための時間やお金をかける必要がないので、その分給与面に反映されることが多いです。
ただ、中には、人材よりも前職の企業のノウハウを転職者から聞き出したいと言った意図を持つ悪い企業も存在することもあるため、給与面だけで転職するのは考えもの。
モラルやマナーを守って円満退社できるようにしよう!
退職するにあたっては、なるべく早めに直属の上司に伝え、自分が関わっている仕事はすみやかに片付けてしまいましょう。
よけいなトラブルを避けるためには、先輩や同僚には退職する間近な日まで話さないようにしましょう。
それでもうわさが広がり、質問されるようなら「色々事情があって」と逃げておくのが無難です。
同業種に転職すると、元の会社の同僚と顔を合わせることもがあるかも知れません。
その時には「結果的にこのようなことになってしまったけれど、今後ともよろしくお願いいたします」と言えます。
転職先での悪口や内部情報の暴露は絶対にNG
同業ならどこかで顔を合わせる機会があるかもしれません。
また、業種によっては転職先と前会社が合併する可能性もあります。
転職先で前職を辞めるにあたった理由を聞かれても、前の会社に対する愚痴は一切言ってはダメです。
「人間性が試されている」と思って発言には注意しましょう。
まとめ
同業種に転職を希望する場合は、比較的転職先も見つかりやすく、給与面での待遇もよいようです。
しかし、知っておかないと後でトラブルを招くこともあります。
会社が社員の流失を防ぐために入社時に「競業避止義務規定」について契約書を交わしているなら、転職によって前会社の気密情報を少しでも漏らすようなことがあれば「競業避止義務規定」が効力を持つこともあります。
基本的には同業他社への転職を禁止する法律はないので、ビジネスマナーを守ってさえいれば損害賠償を請求されるようなことはありません。